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鮎川詢裕子メッセージ
10.302020
知的財産を世界に無償開放した理念経営
こんにちは。鮎川詢裕子(あゆかわじゅんこ)です。
人と組織の自立と主体性を引き出すコンサルティングと
サスティナブルで温暖化逆転に向けた事業化コンサルティング
教えずに自ら気づくコンサルティングをしています。
つい2か月前は8月だったんですね。。。
街は徐々に色づいて、落ち葉がだいぶ増えてきました。
あれだけ暑かった夏が、随分前ののように
思えるのではないかと思います。
少し遠のいたあのジリジリとした暑い夏を思い出しながら
お読みいただけたらと思います。
ここ毎年、最高気温が更新している中で、
もはや冷房は生命維持のためにもなくてはならない
存在になってきました。
暑くなればなるほど、空気を冷却してくれる装置が
必要になってきます。
寒い時に暖を取るには、火を燃やせば温かくなりますが、
冷やすとなると、高い技術が必要となります。
冷房ができるようになったのは、1900年代だそうです。
その空気を冷やす材料が冷媒。
この高い技術を持った世界的な総合空調メーカーの
ダイキンが昨年知的財産である重要特許を
なんと世界に向けて無償開放しました。
この記事を読んで、すぐに全体がわかる人もいると思いますが、
私のように専門知識がない人にも
わかりやすいように書いてみたいと思います。
(もちろん、読み飛ばしていただいても構いません)
なぜこれを書くかというと、今後の私たちに
大きな影響を与えるので、理解の一助になればと
思います。
空気を冷やす材料が冷媒。
その冷媒に使われてきたガスが大きく3つあります。
1.クロロフルオロカーボン(CFC)
2.ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
3.ハイドロフルオロカーボン(HFC)
です。
1.CFCは、使っていると、1970年代になって
オゾン層を破壊することがわかり、
1996年に全面廃止になりました。
これを「特定フロン」と呼んでいます。
2.HCFCは、1.CFCに比べてオゾン層の破壊が少ないので
最初は代替フロンとして使われてきましたが、
オゾン層を破壊するので、こちらは2020に廃止に。
当初は「代替フロン」が今は「特定フロン」になりました。
1.と2.の廃止は、1987年のモントリオール議定書で採択されました。
そして、出てきたのが
3.ハイドロフルオロカーボン(HFC)です。
代替フロンと言われています。
この3.HFCはオゾン層は破壊しませんが、
1.CFC、2.HCFCと同様に温室効果ガスを発生します。
HFCはCO2のおよそ1000倍以上もの温室効果があり、
地球温暖化に大きな影響があることがわかってきたのです。
そこで、2016年にルワンダのギガリでモントリオール議定書の
「ギガリ改正」が採決され、排出削減義務が
2019年1月から発効となりました。
このギガリ改正では、先進国と、発展途上国とでは、開始時期に
違いがあります。
このギガリ改正を受けて、冒頭のダイキンが重要特許無償開放を
決断したとあります。
まずこちらが、2016年11月に発表した
キガリ改正に対するダイキンのポジションです。
冒頭の記事に出てくるR32は、
「新冷媒」として期待されています。
3.ハイドロフルオロカーボンHFCに属していますが、
従来の1/3に温室効果ガスの排出を抑えられることができます。
HFCにも種類があるというわけです。
ダイキンはこの温室効果ガスの排出を世界全体で抑えるために
敢えて、世界に無償開放するという決断をしたのです。
知的財産と言えば、利権を守るために使うもの
という概念が一般的ですが、世界に貢献するという価値観のもと、
この決断があったんですね。
記事にも以下の記載があります。
「当社は総合空調メーカー。エアコンと冷媒の両方を開発・生産している、
世界でも稀有な企業として、冷媒による環境問題とは切っても
切り離せない関係にあります。
当社の狙いは、R32を世界中に普及させて地球温暖化の抑制につなげること。
温暖化影響の低いエアコンの普及をさらに加速させたいと考え、
今回の宣言に至りました」
こちらが「冷媒の環境影響に対するダイキンの方針」です。
ダイキンのグループ経営理念を見てみましょう。
1.「次の欲しい」を先取りし、新たな価値を創造する
2.世界をリードする技術で、社会に貢献する
3.企業価値を高め、新たな夢を実現する
4.地球規模で考え、行動する
5.柔らかで活力に満ちたグループ
1)しなやかなグループハーモニー
2)関係企業と刺激し合い、高め合う
6.環境社会をリードする
7.社会との関係を見つめ、行動し、信頼される
1)オープンである、フェアである、そして知ってもらう
2)地域に対して、私たちにしかできない貢献を
8.働く一人ひとりの誇りと喜びがグループを動かす力
1)一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基盤
2)誇りとロイヤリティ
3)情熱と執念
9.世界に誇る「フラット&スピード」の人と組織の運営
1)参画し、納得し、実行する
2)チャレンジャーこそ多くのチャンスをつかむ
3)多彩な人材を糾合し、個人の力をチームの力に
10.自由な雰囲気、野性味、ベストプラクティス・マイウェイ
理念経営は、利権よりも大切なものを大切にする
経営です。
私たちが、価値観に生きるとき
それは嬉しいこともあれば、痛みを伴うことも少なくありません。
それでも、この決断は会社にとって決してマイナスにならないでしょう。
この先の未来を支える重要な決断につながり
世界を救う決断にもなりかねません。
ドローダウンで冷媒のマネジメントは、
CO2削減ランキングの第1位です。
市中に既に流通したCFCとHCFC、そしてHFCがまだ流通していきます。
記事にもあったように、途上国はこれから発展し、
冷房を取り入れていきます。
削減を決めたとはいえ、まだまだHFCの使用量と
それに伴いCO2の排出量が増えていく中で、
事業の決断が、どんな影響をもたらしていくのか。
私たちも考え、実行するときに来ています。
それは、事業や会社の規模の大きさは、
関係ありません。
誰でもできることがあって、
どんな小さなことだとしても、社会や世界のためにも
なることなのです。
今日もお読みくださりありがとうございました。
鮎川詢裕子
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